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「流動性とボラティリティ」Blockstreamのアレン・ピシテッロ氏にインタビュー ②

ブロックチェーンの開発企業「Blockstream:ブロックストリーム」に行ったインタビューをまとめた前回の記事に続き、今回は第2回目の記事となります。今回は流動性、ボラティリティ、非中央集権的なシステムについてお話ししていただきました。是非、ご覧ください。

アレン・ピシテッロ (ブロックストリーム:プロダクトマネジメント副代表)  

インタビュー日 : 2020年1月17日  

Liquid Networkで得られる流動性とは?

「流動性」とは、「市場において大きな量を購入しても、その価格が動かないこと」と定義することができます。資金を持つトレーダーが少ない取引所では、誰かが少額を購入しようとした場合でも、価格は急激に上昇してしまいます。それは仮想通貨のトレーダーにとっては良いことではありませんので、そのような取引所ではビットコインが買われません。例えば、1000ドル相当のビットコインを購入して価格が急上昇してしまえば、非常に悪い取引になってしまいます。したがって、価格を大幅に変化させることなく、取引所で大量の資産を売却できることは非常に良いことです。

「ボラティリティ」とは、「時間の経過に伴う価格の動き」です。何かが非常に不安定である場合、価格は大きく乱高下します。技術が世界中に広がっていく中で、様々なビットコインの取引所がマーケットには存在します。市場にはいくつかの分断があり、何らかの形で統合すべき小さなマーケットが多く存在します。日本で価格が上昇すると仮定すると、米国では価格が低くなる可能性があります。これらの取引所がより速く相互に作用できるほど、価格の変動は少なくなります。さらに、こうした大規模な購入は様々な場所や取引所に分散するため、価格に大きな変動が生じないようになります。

仮想通貨取引所がLiquid Networkを使うことで得られるメリットの一つは、送金をより速く受け取ることで、流動性と取引量を増やせるということです。ビットコインのような従来の資産、または他の暗号資産、法定通貨がトークン化され、Liquid Networkに統合される取引所が増えるほど、流動性は高まります。

Liquid Networkの詳細ついてはこちらをご覧下さい。

ある大口の買い手が来て、そのネットワークにある全てのビットコインを買おうとしたとします。その場合、他の顧客のために供給を取り戻し、流動性を提供してくれる人が必要になります。Bitcoinを使用すると送金が10分以上はかかりますが、Liquidを使用すると、ほぼ瞬時に送金を完了できます。多くの取引所にとってそれがメリットです。基本的に、顧客からはより早く資金を受け取れ、確認数を待つ必要はありません。これは、取引所と顧客、両方にとって非常に便利な機能です。

Blockstreamの歩み

私達がBlockstreamを始めてから6年が経ち、現在も多くのプロジェクトに取り組んでいます。 Liquidは大プロジェクトで、Blockstreamの設立後すぐに開発を開始しました。私達が知られている大きなプロジェクトといえば、他にLightning Network(ライトニングネットワーク)があります。Lightning Networkにも、かなりの力を注いでいます。現在、Lightningにはいくつかの異なる実装方法があり、様々な企業と共に進めています。私達は、ビットコインのスケーリング技術(拡張技術)として、Lightningにも注力しています。

LightningはLiquidと互換性があり、Liquid Bitcoinを使用して、Liquid上でもLightningのトランザクションを実行できます。将来、Lightningにいくつかの機能拡張が行われた後、そこでもアセットトランザクションを行えるようにしたいと考えています。また、Blockstream Greenと呼ばれる非カストディのマルチシグウォレットにも取り組んでいます。Blockstream社がウォレットの鍵の一つを預かり、2段階認証を許可するもう一つの鍵を顧客が預かります。これは、Blockstream社が明日消えてしまっても、資金が取り戻せるということを意味します。

Lightning Networkの詳細ついてはこちらをご覧下さい。

中央集権と非中央集権の両立

中央集権と非中央集権は、思っているよりも両立できると考えています。重要なことは、非中央集権的なシステムの上にも中央集権的なシステムを構築できることです。例えば、それ自体が分散化されているビットコインの上に、中央集権的なビットコイン銀行を作ることも可能です。これの良い点は、銀行が資金を持っていることを証明でき、多くの利点を得られるということです。ただし、中央集権なシステムの上に、非中央集権的なシステムを構築しようとする事は、ほぼ不可能です。

Liquidは、半分散的(Semi-Decentralized)なシステムであり、世界中の15のグループと多数の権限範囲で構成されています。その点で、規制を順守することもできます。セキュリティトークンの様に「誰がこれらの資産を持つことができるか」や「それらがどのように移転されるか」に関して多くの制限を付けた仕組みを、分散したシステムの上に構築する事ができます。もしも、それを使いたくない場合は、関わる必要がなく、今のままのビットコインを使い続ければ、問題ありません。私は選択できるこそが全てだと思います。ユーザーと発行者の双方に選択肢を与えることができます。これらの規制を遵守するかどうかという選択肢がない人もいますが、私達はそれができるようになる拡張性が必要だと考えています。

     

インタビュー・編集: Lina Kamada

     

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