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「LightningとLiquid」Blocktream アレン・ピシテッロ氏 ④

ブロックチェーンの開発企業「Blockstream:ブロックストリーム」に行ったインタビューをまとめた前回までの記事に続き、今回は最後の記事となります。最終回では、Lightning Networkとブロックストリームのビジョンついてお話ししていただきました。是非、ご覧ください。

アレン・ピシテッロ (ブロックストリーム:プロダクトマネジメント副代表)  

インタビュー日 : 2020年1月17日  

Lightning Networkとは

Lightning NetworkはBitcoinを利用した技術で、ほぼゼロの手数料で瞬時に支払いが行えます私とあなたで、お互いにLightningチャネルを開き、そこに各々がお金を入金します。支払いを行いたい場合、お互いがいくらの残高を貸し借りしているかという記録を遡り、台帳を最新のものにアップデートしていきます。この場合は、データを第三者と共有する必要もありません。Lightning Networkから残高を外に移動させたい場合は、そのLightningチャネルを閉じる操作をします。仮に、残高が多くあった過去の台帳の状態でチャネルを閉じようとした場合は、システムのルールにより、その操作が不正であるという証明を行いペナルティを課すことができます。

これが、Lightningの単純なバージョンです。現在、実際の世界で、Lightningの送金は1対1でなく、他の人を経由して行われています。資金が送金されるように、世界規模のルーティングが行われ続けています。また、同時にプライバシーを守ることができる送金方法でもあります。Lightning Networkで5つノードが離れている人に向けて送金を行いたいとします。自分が送金を行う際に、次に誰に送金すべきかを伝える必要があります。目的の送金先にお金が届くまで、次の人への送金を繰り返していきます。要求された通りに次の人に送金が行われた場合のみ、台帳を更新することが可能となります。

Lightning Networkの詳細ついてはこちらをご覧下さい。

LightningとLiquidは補完的な関係です。Lightningが活用されるのは少額の口座、または当座預金口座のようなアプリケーションだと思います。一方で、Liquidは大きな額を取引所間で瞬時に送金するのに役立ちます。将来的に、LightningとLiquidの統合は必ず行いたいと思っています。現在、Liquid-Bitcoin(L-BTC)が既に利用可能で、サポートを行なっています。資産もサポートしたかったのですが、そのための技術的なハードルがいくつかあります。Lightning Networkの修正も必要になりますが、それを解決する方法はわかっているので、あとは時間の問題だと思います。

デジタル資産の取引

ステーブルコインであるテザーを使用して、もう一つ別のデジタル資産を作り出すというアイデアを考えてみます。ある個人が、指定された銀行口座にお金を預け入れ、預け入れられた金額と同額のトークンをテザーが提供するという仕組みです。これにより、ネットワークを通じて送金を行い、使用が可能となります。現時点で、ブロックチェーンは大量のトランザクションのスケーリング(拡張)には適していません。全てのユーザーが、最終的なセトルメントについて知る必要はないので、メインチェーン上のそれらのトランザクションを、Lightning Networkに移動させて送金を行うことが可能です。Lightning Networkで資産を扱う場合、小売タイプの決済アプリケーションで役に立ち、少額のステーブルコインも高頻度で使用できるようになります。Bitcoinの代わりにトークン化されたドルで支払いを行う場合は、Liquid Networkでも利用することが可能です。

ブロックストリームのビジョン

私達は、Bitcoinに関する多くのリサーチを行なっており、当社の研究チームは技術の改善を専門としています。Pieter Wuille博士という方は、この界隈に最も長い間いる開発者の一人です。彼は、SegWit、Taproot、MiniScript、またSimplicityと呼ばれる技術など、多くの機能を担当してきました。Simplicityは、検証作業を可能にするため設計されたスマートコントラクトの言語です。Simplicityは、スマートコントラクトを非常に簡単に作成できるように作られたEthereumのSolidityなどとは大きく異なります。ただ、Simplicityは非常に堅牢で、何が起こっているかということを簡単に証明できるように設計されています。

Liquidは、テクノロジーの実験場であり、全てが集まる場所だと考えています。暗号通貨は、既に広く利用されているものなので、Liquidというアプリケーションとは非常に相性が良いものです。この領域には、伝統的な金融システムも入り始めていて、フィデリティのような企業もビットコインに参入してきています。ビットコインをデジタル証券として見ている金融の企業もあります。これら2つの世界が融合する日がいずれ来ると思います。

     

金融と暗号通貨の世界の融合が大きくなるにつれて、Liquid、またそれと似たような連合体が、グローバルな金融のセトルメントシステムで使用され始めます。まだ多くの問題はありますが、Liquidに基づくテクノロジーで解決できると思います。私達の目標はLiquidを成功させることであり、これら資産のセトルメントが可能なこと、そしてシステムの欠陥を検証しながら秘匿性の確保が可能なことを世界に証明することです。これは他の金融システムにも更に広がっていくと思います。これが当社のビジョンです。

   

インタビュー・編集: Lina Kamada

     

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