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「史上最大の経済危機」ドイツのエコノミスト マーク・フリードリヒ氏にインタビュー ①

ドイツの著名なエコノミスト、ベストセラー作家であるマーク・フリードリヒ氏にインタビューさせていただきました。登録者10万人を超えるYoutuberでもあるフリードリヒ氏は、既存の金融システムが間もなく終わりを迎えると主張しており、資産の安全な避難場所としてBitcoinの重要性について語っています。是非ご覧ください。

マーク・フリードリヒ

インタビュー日 : 2020年4月9日

ドイツのロックダウン危機

現在、ドイツ国内の状況はコロナウイルスにより非常に悪化しています。また、アメリカ、フランス、イタリア、中国、オーストリア、その他の国々と同じようにドイツでもロックダウン(都市封鎖)が行われています。コロナウイルスにより経済は疲弊し、私達は最大の景気後退と経済危機を迎えていると思います。「The Biggest Crash of All Times:史上最大の崩壊」は、最近ベストセラーになった私の本のタイトルでもあります。経済危機は私が予想していたことであり、いま実際に起こっているのです。このウイルスは世界全体の経済に悪影響を及ぼし、個々の国の政府だけで対処できるような問題ではなくなっています。これによりグローバリゼーションが終わりを迎えるとも私は考えています。今、私達が経験しているのは歴史的な出来事であり、これが全ての転換点だったと書籍の中で語られる日が来るでしょう。パンデミックという大変な状況ではありますが、ある意味では非常に貴重な時期でもあると思います。

2023年の経済危機

史上最大の経済危機は遅くとも2023年までに起こると考えています。そして、それは予想よりも早く始まるかもしれません。この経済危機は、世界中の中央銀行が行う間違った政策、そして私達の通貨システムによって引き起こされるのです。法定通貨システムにおいては、全ての銀行、中央銀行が何もない場所からお金を生み出しています。これは持続不可能であり、私達は通貨システムの終焉を迎えるのです。2008年の大規模な金融危機以来、中央銀行は全ての問題に対して1つの解決策しか持ってきませんでした。その解決策は、お金を印刷して金利を下げることでした。今、私達は人類の歴史の中で最も低い金利に直面していて、これほど多くのお金が印刷され、これほど大きな借金を背負ったことはありませんでした。

そして、今回の危機では更に多くのお金を印刷するために、再びバズーカ砲(異次元の金融緩和)を放っています。もし、もう一度深刻な不況が発生した場合、システムが存続不能ということを中央銀行は理解しており、解決策もなくなっているのです。あとは、金利をゼロ、またはそれ以下にして、更に多くのお金を印刷するしかありません。ハイパーインフレを起こすだけで、2008年の問題は何も解決できていなかったのです。お金が大量に刷られただけで、一般の人々の生活は苦しくなっていきました。これが、死亡率、犯罪率とも最高となっている原因であり、不健全で持続不可能な成長も長く続いています。今、私達は息を呑むほど大きな結末に差し掛かっているのです。

経済危機後の金本位制

忘れてはならないのは、コロナウイルスは泡を破裂させる針に過ぎないということです。近い将来、更に悪化すると見れらる金融危機の原因はウイルスでなく、単なるトリガーに過ぎません。仮に政治家や中央銀行が、コロナウイルスが原因だと言ったとしても、それは真実ではありません。原因は、法定通貨システム、通貨システムの機能不全によるものなのです。経済を立て直すため、政治家や中央銀行は現状のシステムで、また1、2年の間、同じ様なことを繰り返すかもしれません。しかし、私が本の中で述べたように、遅くとも2023年までには全てがなくなり、史上最大の危機を迎えます。その後に来るのは、黄金時代です。

次の通貨システムがデジタルになることは確かです。金本位制のようなものが出てきて、Bitcoinも一部の役割を果たすと考えています。Bitcoinは、今日の通貨システムにおけるゴールドのような避難場所となります。また、ブロックチェーン上でゴールドを担保とした通貨を発行し始めた最初の中央銀行、政府がこの危機で生き残り、勝者になると思っています。間もなく、信用以外に何の裏付けも持たない法定通貨への信頼は完全に失われます。過去数十年でひどい目に遭った人達は、ゴールドのように有限な資産を安全な避難場所として探し始めることでしょう。

暗号通貨の価値

様々な国の政府や中央銀行が、独自のデジタル通貨を作り始めるようになると思います。私は出版イベント、セミナーなどで多くの講演を行ったことがあります。そこには、世界中の中央銀行を代表する方々もいて、中央銀行のデジタル通貨についての話し合いが行われていました。また、最近中国は非常に多くのゴールドを購入しているので、ゴールドを担保とするデジタル通貨を発行しようとしているのではないかと私は推測しています。

暗号通貨にはデタラメなものも多くありますが、私はこれこそが未来だと考えています。個人的にはBitcoinの大ファンなのですが、その他ひと握りの暗号通貨以外は単なる詐欺だと思っています。活用方法がないものも多いので、暗号通貨に投資する人はBitcoinと、その発明者であるサトシ・ナカモトに注目すべきだと思います。もちろん、コインの役割が変わる可能性もあり、時が経たなければわかりませんが、今のところはBitcoinが一番良いと思っています。

ヨーロッパの現金主義

私達には、他の多くの国とは違った歴史があり、前世紀では既に何度もお金を失ってきました。なので、ドイツやヨーロッパの他の多くの地域では現金が愛され続けています。現金は「唯一のもの」と見なされ、紙幣と硬貨が好まれています。ミレニアル世代は、Apple PayやGoogle Payなどのアプリを至る所で使っていますが、電子マネーだけで社会を生きていくのは困難で、とても長い道のりだと思います。ヨーロッパの人々から現金を奪うことはできません。もちろん、クレジットカードやPaypalなどのアプリ、一部でBitcoinも決済手段として使用されていますが、現時点ではまだ一般的ではありません。様々な理由により現金を廃止したいという人もいて、現金は細菌で汚い、犯罪者が簡単にマネーロンダリングを行えるという意見もあります。しかし、今のところ、現金を完全になくすまでには程遠いと思います。日本はいかがでしょうか。

マーク・フリードリヒ Marc Friedrich

  

ドイツのベストセラー作家。エコノミスト、ファイナンシャルアドバイザーとして多くのセミナー、イベント等で講演を行う。金融の専門家であるマティアス・ウェイク氏と共に、これまで5冊の本を執筆し、人々の経済状態を分析。You Tubeのチャンネル登録者数は10万人を超える。

     

Marc Friedrich

インタビュー・編集: Lina Kamada

     

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