執筆者:八木橋泰仁 税理士 (クリプトリンク株式会社)
当記事では、暗号資産の税制について、取引をされている方に参考にしていただけるように以下の3回にわけてまとめていきたいと思います。
第1回目は【暗号資産の定義と税区分について】ということで、日本での「暗号資産はどういう位置づけになっているか」また、「税務上の区分はどうなっているか」ということについてご紹介したいと思います。
日本では、個人で暗号資産投資をおこなった際の確定申告をするための考え方を、平成29年12月に国税庁から公表された「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」ならびに平成30年11月公表された「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(情報)」により一定の指針が示されています。また、平成31年度税制改正で法令での取り扱いも明示されました。
公表された情報をもとに、日本の暗号資産の扱いについてご説明します
■暗号資産の定義
日本では暗号資産の定義は以下のようにされています。
要約すると
暗号資産は物品購入等に使え、法定通貨に替えることができ、不特定多数との取引が可能な、電子的方法で記録・移転することができる財産的価値があるものになります。
資金決済法では2つの要件がありどちらかを満たせば良いとされています。
ですので、
- 物品購入等の対価として利用できる財産的価値があるもの
- 前項の内容と不特定多数との取引ができる財産的価値(≒市場がある)
のどちらか一方に当てはまれば暗号資産であると言えます。
また、暗号資産は「(法定)通貨」ではないとされており
言い換えれば、法定通貨に替えられる、または市場価格のある(目に見えない)電子的暗号(≒財産的価値のあるモノ)であるとされています。
■税務上の区分
国税庁から公表されたとおり、暗号資産で得た利益は原則として【雑所得】に区分されます。
雑所得について詳しく知りたい方はこちらをご参考にしてください。
(https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1500.htm)
この場合の売却は、仮想通貨同士の交換も含まれます。法定通貨に換えない場合でも売却したことになります。
また使用する場合でも一旦売却したとみなされるため損益が発生しますのでご注意ください。
また原則として雑所得に区分される暗号資産の収益ですが、以下のような場合には雑所得以外の区分とされるとしております。
その仮想通貨取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合
事業所得者が、事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段として使用している場合、その使用により生じた損益については事業所得となる
その仮想通貨取引自体が事業と認められる場合
その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にはその所得区分は事業所得となる。
ここで注意が必要なのは「生計を立てていることが客観的に明らか」とする判断については人によって違う場合もありますので、上記の所得区分にて申告を行う場合には専門家に相談することをお勧めします。
■消費税の扱い
現在暗号資産の消費税の扱いは「消費税非課税」となっています。
平成29年度税制改正により、平成29年7月1日より暗号資産は消費税非課税と取り扱いが 変更となりました。
これ以前より消費税課税事業者の方は影響がありますのでご注意ください
① 個別対応方式による区分
平成29年7月1日以前に譲受けた暗号資産について、個別対応方式により仕入税額控除を計算する場合の仕入れ区分は、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」に該当
② 仕入税額控除の不適用
平成29年6月30日に100 万円(税抜)以上の暗号資産(国内において譲受たものに限る)を保有する場合、同日の暗号資産の保有数量が平成29年6月1日 から平成29年6月30日までの間の各日の暗号資産の保有数量の平均保有数 量に対して増加したときは、その増加した部分の課税仕入に係る消費税につき、 仕入税額控除制度の適用が認められない。
上記のように暗号資産は現在、非課税となっておりますが、平成29年7月1日から暗号資産の消費税の扱いが変わっておりますので対象になる方はご注意ください。
当記事では、暗号資産の定義と、税区分についてご紹介しました。
次回は「暗号資産の損益の発生タイミングと計算方法」についてご紹介いたします。
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また、計算の代行サービスや税理士のご紹介も行っておりますので、確定申告にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
クリプトリンク株式会社
代表取締役 八木橋泰仁 (税理士)
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